一般病棟師長が発達障害を持つ新人看護師の指導について実践したこと

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今の時代の看護師教育で大事なことは何でしょう?

私が新人看護師として入職した頃は「仕事は見て覚える」といった感じの風土がありました。

今は昔とは違い、どの病院でも新人看護師教育に力が入れられています。

そしてどの病院にも毎年、個性豊かな新人看護師たちが入職してきます。

今回は私が出会った「発達障害」と診断された新人看護師の指導に当たらせていただいた時のお話です。

(介護×医療のストロークでは、実際にそのお仕事についている現場の職員や業界経験のある方に、記事を書いてもらっています。)

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もしあなたの職場に発達障害を疑う看護師がいたら?

看護師長

私は現在、総合病院の一般病棟師長として働いています。

私の勤務する病院は、地方にある小規模な病院ではありますが、職場の雰囲気は大変よいと思います。

独身で入職し結婚、出産しても継続して働いている看護師が多いので、働きやすい職場であるのだと思います。

むしろ、気になることと言えば、長く働いている看護師が多いため、比較的看護師の平均年齢が高いことぐらいです。

このような地方によくある病院ではありますが、毎年4月になると2〜3名程度の新人看護師が入職してきます。

新人看護師のために、病院個々で様々な教育カリキュラムを立てます。

技術面をはじめ看護師としてのあり方などを、一年かけてゆっくり指導していきます。

今の新人看護師は、昔とは違い「大事に、大事に」育てられているのです。

もちろん大事に時間をかけて育てていくのですから、即戦力にはなりません。

しかし、時間をかけて新人看護師を育てることで、「忙しい、きつい、汚い」など決して良くないイメージのある看護職の離職率も、少しずつ減少してきています。

私が感じた新人看護師の発達障害を疑う行動と違和感

新人看護師

昨年度、私の勤務する病棟にもAさんという20歳の新人看護師が入職してきました。

とても大人しそうな子で、おっとりした印象の新人さんでした。入職後はまず1〜2日の院内のオリエンテーションなどが実施され、その後、各配属病棟で勤務開始となります。

Aさんは私の病棟に配属となり、さっそく勤務開始となりました。

Aさんの勤務は、まずは見学から始まりました。

お世話係の担当看護師の後ろを付いて回りながら、病棟の業務の流れや、入院患者さんについて学び慣れていきます。

おっとりしたAさんも、一生懸命先輩看護師について回りながら、少しずつ病棟に慣れようと努力しているようでした。

しかし入職後2カ月ほど過ぎたある日、Aさんがナースステーションで、いきなり大声で泣きだしたのです。

理由は「自分はもっとできるはず。なのに失敗してしまった」とのことでした。

指導していた先輩看護師はびっくりしていまい、慌ててAさんを慰めなだめていました。

それでもAさんは、泣き止む様子がないため、その日は早めに帰宅させることにしました。

その時、私は少しAさんの行動に違和感を覚えたのです。

Aさんに対する違和感

なぜなら、はじめは泣き止む様子のなかったAさんでしたが、5分程すると満面の笑顔

「さようなら〜」

とナースステーションを出て行ったからです。

その笑顔に正直驚きました。

私は、今日の失敗を悔やみ、明日は落ち込んで出勤してくるであろうAさんを、どんな風に迎えようかと考えていたのですから。

Aさんの繰り返される失敗

頻発するミス

その日から私のAさんに対する違和感は、少しずつ大きくなっていきました。

Aさんはなぜか、いつも同じ間違いをしてしまいます。

さらに、朝のカンファレンスでは居眠りしていることが多くありました。

その日実施しなければならない、患者さんのケアも毎日のように忘れてしまいます。

そして確認すると決まって「あっ!忘れてました」と言います。

多少のことは良いとしても、さすがに大事な注射などは、命に関わる現場ですから、簡単に忘れてもらっては困ります。

彼女を「どうにかしなければ」と感じた私はその日から

・忘れさせないようにする為に声をかける。

・メモを取らせる。

・終わったことを自分でチェックさせる。

 

など考えつく方法は全てAさんと一緒に実行していきました。

しかし、Aさんはメモを取っても、どこにメモしたかわからなくなってしまう

同じことを何度説明しても、わからないことも多々あり、一向に改善がありません。

これは、もしかしたら何か他に原因があるかもしれない…と思った私は、他に考え得る原因を本やネットなどで調べました。

そこでAさんの日常の行動に当てはまったのが「発達障害」でした。

Aさんは発達障害では?と疑った時…どう対処したか

具体的な書き方

ネットに書かれた「発達障害」という言葉に、私は「Aさんの行動は発達障害なのだろうか。でも…安易に障害を疑うのはどうなのか。違うかもしれない…」と日々繰り返し思い悩みました。

しかし、逆にもしもAさんが発達障害なのであれば、それに応じた対応をすれば、立派な看護師として育ってくれるのではないだろうかと考えました。

そこで、私はAさんを育てるために発達障害への対応方法を調べました。

その対応方法を他のスタッフにも伝え、毎日実行していきました。

Aさんがやらなければならない事を忘れないように、朝から一日のスケジュールを一緒に書きます。

常に時計を見ながら、時間になったら決まったケアを実施してもらいます。

それをAさんに習慣付けるように、毎日繰り返しました。

Aさんは、言葉での説明は理解しづらいので、文章にして説明するなどの対応方法を、細かく実践していきました。

しかし、その対応方法を一年間実践しても、Aさんの行動の改善は難しいものでした。

また、指導と同時に、院内の専門職員に介入を依頼しました。Aさんに細かく状況を話をしながら、専門医受診を勧めていきました。

Aさんの指導を継続していくには、確定診断が必要だと判断したからです。

そして、専門医受診をした結果「注意欠如型発達障害」の診断があったのです。

命に関わるミス!…職場の出した結論

点滴投与

病院での勤務は、看護ケアだけではなく様々な医療行為もあります。

間違いが許される現場ではありません。Aさんはついに、点滴の投与量を間違えてしまいました。

(いつも他の看護師が付いて動いていたので、実際に投与はされず事故には至りませんでしたが)

やはりこのまま時間をかけてAさんを見守っていくという訳にはいかなくなり、私はAさんの今後について、病院側と何度も話し合いました。

しかし、結論として

「Aさんは一年かけて対応しても、十分な改善がなく、この現場で看護師として働くことは困難である」

との判断となりました。

Aさん自身も、発達障害の診断をなかなか受け入れることができませんでした。

そして「どうしても看護師として働きたい」と希望しました。

自分がどんな看護師になりたいか…Aさんにはしっかりと理想がありました。

だからこそ、どうしても看護師になりたいという思いも強くあったのだと思います。

病院としての決断を伝えるのは非常に辛いものでしたが、Aさんのこれからを考え、しっかり向き合う覚悟を決めてAさんと話をしました。

看護師は病院の中で働く事だけが仕事ではありません。

看護学生を教育する事。

予防医学や健康増進のために、地域の住民を対象に指導や教育をしていく事。

どれも、看護師の大切な仕事になります。

私はAさんに「直接的にケアを提供する病院」以外で看護師の資格を活かせる道を選択してほしいと思いました。

ご両親とも発達障害のことも含めてお話しし、ご両親の説得もありAさんは当院を退職となりました。

これからの新人教育に求められるもの

私は今回始めて発達障害と診断を受けた新人看護師と出会いました。

しかし今後も発達障害と診断されたり、発達障害であろうと思われる新人看護師の入職は増えていくと思います。

以前はただ「ちょっと変わってる子」だと思っていた…そんな子が本当は発達障害である事も多いのだと思います。

そんな発達障害を持ちながら、看護師となった新人さんを受け入れる時、私たちはどのように体制を作り、どう育てていけばいいのかを考えていく必要があります。

もちろん、それは看護師だけでなくほかの様々な仕事に共通するのだと思います。

どのように接するのがいいのか。

どのような指導方法がいいのか。

受け入れる側の準備が必要になってくると思います。

現在、私も発達障害についての研修会などに参加して発達障害について学んでいます。今回のこの経験を無駄にする事がないよう、もっと発達障害について学んでいきたいと思います。

この記事を書いたのは:鹿児島県在住:N  40代後半看護師(病棟勤務)

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