知的障がい者施設はナゾに満ちている?利用者さんの日常と職員の業務とは

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多くの知的障がい者施設は、市街地から離れた場所に建てられていることもあり、利用者さんがどのような生活を送っているのかわからない方も多いのではないでしょうか。

今回は、職員の関わりも含めて、利用者さんの生活の様子をお伝えします。

知的障がい者施設に対してや、そこでの仕事内容に対しての知識を深めるきっかけになればと思います。

利用者さんは何をしている?日課について

利用者さんは毎日、日課に沿って生活しています。

私の施設では、平日は以下のような日課となります。

7:00  起床・検温

7:15  朝食・服薬

8:00  歯磨き・洗面

9:30  出勤

11:20 退勤

11:40 昼食・服薬

12:20 歯磨き・検温(高齢者は血圧測定)

13:30 入浴(隔日)

14:30 水分補給・余暇

17:15 夕食・服薬

18:00 歯磨き

18:15 余暇

20:00 服薬・就寝準備

21:00 消灯

入浴のない日は、午後も作業のため出勤となります。

土日は作業がお休みとなり、余暇時間が増えます。余暇時間にデイルームでDVD鑑賞を行います。

施設居住者は重度障がい者が大半です

障がい者のレベル

大規模な知的障がい者施設の入所者は、大半が重度障害を抱えています。

軽・中度の障がい者は、施設内の作業訓練を経て施設を退所し、地域のグループホームに移行していきます。そこから各授産施設に通所しています。

日常生活に介助が必要な方、就労困難な方、障害は軽くても人間関係でトラブルを起こしやすい方も地域移行できません。

また、親御さんの希望であえてグループホームに行かない方もいます。

私の施設は古くからある大規模社会福祉法人なので、昔から居住している利用者さんには安心感があるのでしょう。

8畳の個室、冷暖房完備

私の施設の利用者さんは、およそ8畳の個室に居住しています。

ベッドとテレビ、ソファ、テーブルが居室に置かれ、ほかにも本人や家族の希望でCDデッキがあったり、電子ピアノを持っている利用者さんもいます。

雑誌や新聞を購読している方もいます。

これは個人で余暇を居室内で楽しんでいただき、対人トラブルを避けたい施設側の配慮でもあります。

快適に過ごしていただくため、年中室温は24度に保たれています。

居室の清掃は各自行い、職員が掃除機、モップ掛けを行います。

衣類や雑貨類はクローゼットの中にあり、過不足なく揃っています。

一日の多くの時間を、利用者さんはこの居室で過ごしています。

それでは、利用者さんは主な日課ではどのように過ごしているのでしょうか。

利用者さんの食事風景

食事光景は不思議な感覚

まず勤め始めて驚いたのが、食事中の静けさでした。

かしゃかしゃと、箸と食器がぶつかる音が食堂に響くのみ。誰ひとり、会話する人がいません。

黙々と食事を口に運ぶ利用者さんたち。食事を食べるのも早い。

私の勤務するフロアは、重い自閉症の方が7割を占めます。

自閉症の障害特性ゆえか、淡々と、あっという間に食事が終わってしまいます。

食事が終わった方から順に、席を回り服薬していきます。服薬ミスがあるといけませんから、職員も日付や名前の確認で声を出すのみ、あとは無言です。

私たちの感覚では、食事は一緒にいる人との会話や場の雰囲気も含めて楽しむものですが、利用者さんにしてみれば食べることこそが楽しみであり、他の要素はあまり必要ではないのかもしれません。

また、不用意に職員が話しかけてしまったために利用者さんが興奮し、大暴れして食事の場がめちゃくちゃになったことが過去あったそうです。

安全に、確実に全員が食事できることがここでは大事なことなのです。

食事は栄養士が管理したバランスの良いメニューで、時折うらやましいと思うこともあります(笑)。

入浴時は全介助が基本

私の施設では、入浴は一日おきとなります。

身辺面はある程度自立しており、職員が仕上げさえすれば独りで入浴できる方が多いのですが、時間も限られているため職員が全介助で行います。

この辺りは各事業所で異なるでしょうし、リーダーの考え方次第で変わってくると思います。

たとえ地域移行が難しくとも、身辺自立を考えるなら介助をできるだけ減らすでしょうし、職員の都合、時間効率を優先するなら、職員が全介助した方が手っ取り早いのです。私の施設は後者といえますね。

入浴の後、職員には洗濯ものの片づけ業務が待っています。

利用者さんは余暇時間でゆとりがあるのですが、職員に余裕がないため、入浴時間を手早く行うことになってしまいます。

入浴も利用者さんの楽しみのひとつです。

「早く早く」と職員がせかしながらの入浴はいかがなものかと思うのですが・・・。

作業はごく単純なもの

土日祝日を除いて、利用者さんは毎日作業に出勤します。

私の施設の敷地は広大で、畑や牧場、きのこ生産場、養鶏所などがあります。

また、木工や陶芸、紙薪作りなども行われています。

職員も利用者さんを引率し、毎日作業場に出勤することとなります。

利用者さんは能力面を考慮し、各作業場に振り分けられています。

私が主に担当しているのは貼り絵を行う作業場です。これは生産性がなく、余暇の延長のような作業ですが、楽しみにしている利用者さんも多いです。

作業光景

色紙を小さくちぎり、下絵に貼っていく単純な作業です。(山下清さんが有名ですよね。)

しかし、よく見ていると、貼り方にも利用者さんの個性が出ていて面白いものです。

線から絶対にはみ出さないで貼り付けていく自閉症の方。ちぎった紙もほぼ同じ大きさで、貼る方向にも規則性がみられます。

かと思えば、平坦に紙を貼ることが難しく、放っておくと山を作ってしまう人もいます。

職員は時おり助言しながら、利用者さんに楽しく作業してもらえるよう見守ります。

もちろん、下絵を作ったり、数々の準備は職員が行います(これがなかなか大変です)。

時には不穏な利用者さんも出て、せっかく作った貼り絵がビリビリと破られることも・・・。

やはりここでも、安全に平穏に時間を過ごしていただくことが第一目標となります。

意外にも利用者さん同士の交流は皆無なんです

交流はない

職員には時間の余裕があまりありませんが、利用者さんは比較的のんびりと一日を過ごしています。

日課と日課の間にはゆとりがあり、余暇時間も多めです。

ほとんどの利用者さんは、自室でテレビを観たり雑誌を読んだり、音楽を聴くなどして余暇時間を過ごしています。

これも初めの頃は不思議だったのですが、利用者さんの間で会話がなされることがほぼないのです。

利用者さん同士の交流は皆無です。

これも「安全第一」で利用者間のトラブルを避けるため、施設側が交流しないよう促し続けた結果かもしれません。

居室の訪問を禁じている施設は多いかもしれません。私の施設でも、自室に忍び込まれて盗難に至ったり、他害される利用者さんがいます。

他者との距離感をつかむことが難しい利用者さんには、上手に他者と交流することよりも、交流を避けるよう促す方が安全なのかもしれません。

知的障がい者施設で勤務を希望される方へ

他にも、さまざまな場面で特殊さを感じることがあります。

ひっきりなしに失禁する方、便を壁に塗りたくる方、放尿、放便、吐き戻し・・・。

職員の汚物処理は日常茶飯事です。

日課を待てない方も多く、「ご飯まだ?」「作業まだ?」「お風呂まだ?」・・・。

数分置きに繰り返されるこのような要望、確認の数々。

答えても、応えても、また同じことを言ってくる、行う・・・。

突然発せられる奇声、その後おさまらない独語・・・。

また、利用者さん同士、ささいなことから取っ組み合いのケンカに発展することも時にはあります。

職員は体をはってトラブルの仲裁にあたりますが、その際ケガをすることもあります。

重度知的障がい者支援は困難で不毛に感じることが多いです。

体力面よりも、精神力の強さが求められる仕事です。キレイ事が通じない世界です。

勤務して1年目は、自分の常識がことごとく壊されてしまうかもしれません。

でも、自分の中になにか1本、「芯」を持ち続けることが大事だと思います。

なんでも良いのです。「生活のためだ!」でも「資格取れるまでやる!」でも「車のローン払い終わるまで!」でも(笑)。

「利用者さんのために頑張る!」という気持ちは、あとからついてくるものかもしれません。

私も最終的にそのような気持ちになれるよう、今を懸命に働いています。

この記事を書いたのは

ライター名:丸 和水

悲しい事件が起こっていることで余計に、マイナスなイメージが付いてしまうことも多い障害者施設です。

でも、しっかりとした志をもってお仕事されている人もたくさんいます。

人が人を支え合う気持ちを大事にできる世の中になりますように、こころから祈ります。

 

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